2011-01-01から1年間の記事一覧

あまりにもノーマルな性:ブリュノ・デュモン監督『欲望の旅』雑感

デモ活動の際に全裸パフォーマンスを行ってニュースになる例が、時々ある。スペインの某動物愛護団体が有名だが、どのくらいの実効性があるのだろう? 動物愛護のお題目で裸になるのは動物と比べて人間だけを特別視する社会への異議だろうが、大抵のデモでは…

『ファニーゲーム』の二人組はどこからきたのか?:ミヒャエル・ハネケ監督『ファニーゲーム』雑考

ときどき無性に『ファニーゲーム』(ミヒャエル・ハネケ)のオープニングが観たくなる。郊外の道をボートを牽引しながら走るSUVを、緩やかなピッチのオペラ音楽を背景に捉え続ける。車内へカメラが移ると、別荘地へ向かう三人家族の姿。父親と母親が曲当てゲ…

What the ? :『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』雑感

電子書籍元年?2年?の話題もだんだん凋んでる感じだけど、タブレットの性能云々からプラットフォームとコンテンツの関わり(プラットフォーム側と出版社の折衝など)へと一般的興味が移ったのは、ひとつの段階的兆候ではあるのかな、と思う。まぁ一消費者…

下書きを、並べてみる。

ずいぶん長らくブログを放置している。twitterを始めてから手をつけなくなった現状を鑑みるに、所詮140文字で収まるようなことしか考えてなかったのかな、と厭な思いに駆られる。メディアによって使い分けを、と思っていたはずなのに、実行に移すのは難しい…

『流跡』と異界について:朝吹真理子『流跡』雑考

話題の作家・朝吹真理子のデビュー作を読んだ。 賞を受けるのが作家か作品かという問題は、古今東西を問わず解決しがたい難問だろうと思う。それは近代特有の「人間」病かもしれないし、実はもっと古い原初的な何かかもしれない。もちろん作家本人のプロフィ…