美術

ピーター・グリーナウェイ監督『英国式庭園殺人事件』

来年2024年3月にピーター・グリーナウェイ監督の特集上映が開催されるとのこと。楽しみが増えた。そんなわけで、傑作を紹介します。シンメトリーな構図、緑と赤/黒と白の色調、屋外撮影による昼の光と夜の闇のコントラスト、バロック絵画をそのまま持ち込ん…

李禹煥展 雑感

国立新美術館で開催中の李禹煥展に行ってきた。 岩と、ガラスや鉄などでできた「関係項」シリーズは何度見ても良い。「もの」を前にした鑑賞者(自分)はどこにいるのかという認識を含んだ作品だと自分は理解しているが、岩と自分の関係だとすれば(もちろん…

鯨の腑の光〜レベッカ・ホルン展(東京都現代美術館)より

四方は壁――。 薄暗い室内に、ミニマル音楽が静かに流れる。中央に置かれた浅い水盤が、絶えることのない光を受ける。照射されては、文字や文字が浮き上がる。 壁と床を文字が這う。水面から生まれた文字や文字が、ゆっくりゆっくり流れゆく。 文字の形は、ラ…

額装と軸装、あるいはフレーム:速水御舟展 雑感

「イメージは枠から外へ出なければならない」と、バチェコは弟子のベラスケスに言ったそうだ。 昨秋、引っ越しした山種美術館で速水御舟展が催された。自分では買わないだろう本や行かないだろう店なんかがあるように、眼に入らない場所というのが存在する。…

他愛ない思いつき。:ミシェル・フーコー『作者とは何か?』雑感

作者名は固有名詞のように言説の内部から言説を産出した外部にいる現実の個人に向かうのではなく、いわばテクスト群の境界を走り、テクスト群を輪郭づけて浮き上がらせ、その稜線を辿って、その存在様態を堅持する、或いは少なくともその存在様態を性格づけ…

見えている②

以前、国立新美術館に行ったと書きましたが、話が出来事の半分でした。ハプスブルク展の観覧者の多さに疲れて展示室を出た後、他の企画展示を観に行きました。この美術館には常設展示がない代わりに、期間限定の企画展示がいくつか開催されていました。 その…

ハプスブルク展 雑感

先週のことですが、乃木坂の国立新美術館へハプスブルク展を観に行きました。 終了週だったからか(すでに東京での展覧は14日で終わり、1月から京博へ巡回するようです)人が多すぎて、もうそれだけで疲れました。ハプスブルク家にまつわる絵画中心の展示で…