読書

「あなたのための物語」という物語:長谷敏司『あなたのための物語』雑感

『あなたのための物語』(長谷敏司)を読んで、一言。 ――この物語が好きだ。エクスキューズは必要ない。 残酷で優しいこの物語を、僕は好きだ。 舞台は2084年、シアトル。科学者であるサマンサは自らが開発した脳を記述できる言語を使用して作った人工知能に…

ドラえもんの音

アニメ『ドラえもん』のタイトルシーンで流れるジングルを思い浮かべてほしい。画面の両端にドラえもんがいてひっくり返る。その際、「トゥルルル♪×××」という音楽が流れる(×××はタイトルである)。 では、いま思い浮かべたジングルを口に出して奏でてみよ…

誰も気にしない:ボルヘス「ジョン・ウィルキンズの分析言語」雑感

アンサイクロペディアで見つけた(wikiではないのでご用心)。 誰も気にしない(Nobody cares)は、しばしば「勝手にしろ」とも書かれ、神格者、専制君主、寡頭制、民主主義、一般大衆、飼い主、すべての人、そしてwikiの管理者により使用される方針である。…

他愛ない思いつき。:ミシェル・フーコー『作者とは何か?』雑感

作者名は固有名詞のように言説の内部から言説を産出した外部にいる現実の個人に向かうのではなく、いわばテクスト群の境界を走り、テクスト群を輪郭づけて浮き上がらせ、その稜線を辿って、その存在様態を堅持する、或いは少なくともその存在様態を性格づけ…

見えている:大森荘蔵『新視角新論』雑考

ありもしない「視点」としての「私」を尋ねあぐねて、それでは一体「私」はどこにいるのだ、と尋ねたくなろう。しかし「見る私」、事物がそれに対して「見えている私」などはありはしないのである。だがしかし、「私」はどこにもいきはしない、「私」はここ…

あ〜あ〜あ〜只今マイクのテスト中。

子供の頃、ノートの1ページ目には必ずきれいな字を書いた。 すぐに雑な字になって、やがて罫線にも従わなくなるけれど、それでも丁寧な文字で書き始めるのは、美しいノートを作り上げようと考えるからだ。 というわけで、ブログの初めだからきれいな文字を書…